Orange Tea

Author * hideち / 愛でるモノは音楽・本・植物・金魚でス。
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『地下街の人びと』

by ジャック・ケルアック

二週間半前に会ったRさんとまた昨日、
今度は浅草で会った訳ですが、
そこへ行く途中、銀座線に乗って浅草まで行く中で、
読み終わりましタ。

酒と女と、薬とセックスと、狂気と生ゴミの中で、
「僕」と「マードゥ」が愛し合う話であル。
僕は31歳の小説家で、
マードゥは22歳の、褐色の肌がどの色よりも美しく見える黒人女性。

男女の間で起こる、個人的な見解で、孤独、はたまた同姓と一緒に、
相手、はたまた異性を好き放題に妄想し、自ら淀みにはまる、
お馬鹿なハエが、それを葛藤と名付けたならば、
この本には葛藤が無く、いつ崩れるか終わるのか分からない、
狂気の中で発生した、薬みたいに短気だけども、憑いてしまう愛の話。

本の中の文を引用すると、
「ゴミ箱で目を覚ましたクモのような気分(pp154)」のクモが僕やマードゥ、
酒と女と薬と、自分がどれ程凄いかと言う男同士の虚栄や、
日雇いでいる人たちの事で、確かな自由をの中で生きる世界であり、
「もっと快活でもっと堅実な、気紛れという汚れの少ない生き物の(pp154)」、
所謂、渋谷の地べたで座って駄弁っていられる人や、
六本木の喫煙コーナーで昼休みの一服を嗜む人や、
こうしてブログを書きながら男を待つ健気な女が、いる世界のお話ではない。

享楽的で、快楽主義的で、自らの頭がある場所よりも遥かに上の方で、
輝かしい自分の未来を見つつ、体は女に突っ込み、女は突っ込まれる。

そうして狂気は日常に溶け込み、僕とマードゥは疲弊し、傷つけ合い、
葛藤が手元に残り、僕はマードゥをゴミ箱の中に帰すはずだっタ。

この本は意識と無意識の割合が、明らかに無意識が陣取っていル。
村上春樹の『羊をめぐる冒険』や『海辺のカフカ』、
『ねじまき鳥クロニクル』と同じ香り。
深い精神の部分を掘り起こして、
それをそのまま紙に打ち込むのが好きだナ。
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ニーチェの錯乱、失われたのは偽者の善。

 ニーチェに中てられドイツ人に対して変な先入観を持ちそうなhideちでス。
『ツァラトゥストラかく語りき』を読もうとしたのに、『この人を見よ』の方に何故か手が出ちゃったのダ。電車の中でこの手を読む人はあまりいませんが、万人が待つホームで堂々と読む自分は、裸の王様の様に晒される気分に、恍惚となル。

 精神錯乱に陥る前の、静かな心持ち。人が、人足らしめる最も研ぎ澄まされた位置。あの、何とも不安定な針の上に位置した精神。狂気の反対が正気ならば、迫り来る狂気を真っ向から迎える正気。
 いや、寧ろ巨大な狂気がそこにずっとあり、正気が、自分を律する正気が、迎え撃つのだ。
 いや、寧ろ正気のお陰で自分が妨げられていたのだ!正気は「常識」があるとされる「善人」が持つものだが、善意は明らかな本能の欺瞞であり、つまり欺瞞からは決して真理を語らない。その世界から生まれるのは、常に聖人と呼ばれる人であった。しかし、聖人は「創造する力」を持たない。嘘からは嘘しか出ず、何を作ろうにも嘘しか出てこない。それは破壊神ダ。
 するとサタンが最初に地面を歩いた人となる。それなら私は何の恐れがあって正気を捨てようか。狂気が目覚める時に正気が味わう苦痛を味わおう。だから、狂気を!

 ニーチェは精神の地面に足をつけてしまっタ。浮いた足では見渡せない、浸れない、地面(レアリテート)に。目覚めれば求めなければならない狂気があり、目を閉じると善人の声が聞こえそうになる。"この人"は一歩を踏み出した。ああ、狂気。これが真理!
 彼にとって、善人、欺瞞の象徴がドイツ人であったのか。それでも、「人が良い」ニーチェは彼らを捨てられなかった。口で何度も、何度も、彼らを捲し立てた。でも、捨てられない。彼は生粋の「聖者」にもなろうとしたのか。「神聖化」されない聖者。

 "この人"にニーチェはなりたかった。
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『The Historian』

by Elizabeth Kostova

The Historian女性がとても古い一冊の本を見つけます。
その本は世界中に僅かだけ存在しました。
女性が発見した本の持ち主、彼女の父親。
イスタンブールに住む男。
オックスフォード大学教授。
父親の学生時代のアドバイザーで、
行方不明となった大学の教授。
女性は本の存在が気になって、
本の中に挟まれた手紙が気になって。
調べ始めた。

皆、過去の研究に囚われた歴史学者やそれに関連した仕事を持つ人。
この本は特別な人々に配られました。
世に出ていない、又はもうこの世に存在したに歴史書を集める人によって。
配った人は、自分の所蔵を整理する人を探していました。

配った人は、竜の子でした。
―――――――――――――――――――――――――――――――
ふむ。B級映画で例えられる映画レベルでス。
描写は凄く良い。
けれども、話は歴史を知っている人が楽しめル仕様。
ヨーロッパ、中東地域の世界史が多く含まれている為。
全く噛んでいない人、歴史をやっていない人は楽しめません。
背景がとても詳しく書かれているのに、
分からない人が読んでも上辺だけで、途中で飽きまス。

西洋史が分かる人は中々感心させられると思いまス。
ピンポイントで濃い歴史なので、深みがよくわかるかト。

共通して味わえるのは、夜読むと中々素敵な気分になりますヨv
(画像はアマゾンから引っ張ってきましタ)
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『トニオ・クレーゲル』『ヴェニスに死す』

by トマス・マン

 マンの作品はこれが初めてであル。『魔の山』を読もうと思い立ち、本屋へ行ったものの、生憎これしかなかっタ。長編『魔の山』と違い、薄い文庫本だったので、まぁ、良いかとこちらを持ってレジへ行く。

 この本は中央線に乗って青梅へ行った時、車内で読破したものであル。午前中の車内は空いて、扉が開いた時に入ってくる風は冷たい。枯葉や冬支度をする鳥の鳴き声も入ってくる。気持ちが良かった。

 この二作品を収めた本は、ちょっとした既視感、deja vuに見舞われル。近代文学が好きな人、特に解説を後から読む人なら味わうであろう、「あれ?」に出会う。ゲーテに似ているのダ。とても。これは翻訳者が同じだからなのか、何なのか。原書の読めない自分では確かめるすべは無い。
 しかし、トマス・マンは「ゲーテのまねび」の趣があるらしいと後に知った。だからゲーテの影が薄っすら見えるのは、そのせいなのかも知れない。

どちらの短編には芸術家の静かでなお、激しく弱々しい心理が書かれていタ。
芸術家の本質を描いているのだ。
「感性と理性、美と倫理、陶酔と良心、享受と認識−こういう相反する二つのものの板挟みに会っている人間」(解説より抜粋)がトマス・マンの言う芸術家である。『トニオ・クレーゲル』での主人公クレーゲルは後者を。『ヴェニスに死す』の主人公、初老の芸術家は前者を選んで書かれた。後者に選ばれたクレーゲルは、前者に惹かれるも、後者を選んで何とか生きている。前者に囚われた初老の芸術家は思うが侭の精神で美を愛でるが、年を重ねた者に付き纏う理性に悩まされ、死んでゆく。

そんな、お話。
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『Netochka Nezvanova』

by F. Dostoyevsky
Netochka Nezvanova (Penguin Classics)
Netochka Nezvanova (Penguin Classics)

ネトーチカと言う孤児。
父親の死後、母は自称天才のバイオリニストと再婚する。
発狂せんばかりの生活の中、母親の死が来た。
堕ちたバイオリニストはネトーチカを捨てる。
彼は死体となってネトーチカの耳に噂が入る。
ネトーチカは独りだった。
貰われた家族が如何に裕福でも。
一人の娘を愛してしまっても。

人という単数の存在を消されんばかりの脅威にさらされ、
その中にあるどうしようもない重みを含む苦境、狂気。
そして罪の償い。
ドストエフスキーが意図して全ての小説に潜り込ませるもとになった本。
此処にはアリョーシャがいてフョードルもいる。
ラスコーリニコフも、ムイシュキンもいる。
地下室の手記を書いた「ぼく」も、いた。

でも、この本は未完。
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『HOOT』

by Carl Hiaasen

少し前、本屋で良く見かけた輩は多いだろう。
それは、これがお菓子みたいなデザインだから。
children's literatureに分類されるが、それ以外の者が読んでも可。
hideちの年齢からだと、表紙通りでお菓子みたいな感覚で読めまス。
難しい本だと、集中して確実に降り過ごす様な電車の中用とか。
寝る前の、自分へのbed time story用とか。
授業の始まる5分前に読む用とか。

そんな本。

一度賞味をお勧めしまス。

『HOOT』CarlHiaasen

家族とフロリダへ引越した少年ロイ。
凹凸のある自然豊富な山々から来た彼には、ここは平べったい道ばかりで、あとは“汚い”ディズニーランドしかない辺鄙場所だっタ。
転校生には必ず貰えるおまけみたいに、毎日虐められるロイ。

いつもの様にスクールバスの中で嫌がらせを受けていタ。
ふと、窓の外を見たら、“靴”も履かずに全力で走る、
ロイと同じくらいの年の少年が目に入った。
少年は在ろう事か、スクールバスから遠ざかっていた。

「少年は皆学校へ行かなくてはならない」はずなのに。

ロイはある日、少年を追いかけてみた。
それは、ちょっとした好奇心から。
“拷問”みたいなフロリダの日中から抜け出せるかもしれなかっタ。
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『赤い小馬』

by スタインベック

三人家族のジョーディに、ビリーバックの住まう土地。
広大な敷地内には蓬(ヨモギ)の原っぱ。
馬たちは野や畑の、矢の様に後へ飛び去って行くのも気にせず、
大地を打ちたく音を出す。
二匹の飼い犬は映画俳優みたいな名前を呼ばれるのなぞ気に留めず、
狂うようにして兎や鴨を追いかける。

大海原のような草原の中で、彼は育つ。
ジョーディは馬を育てる。
ジョディーは遠くで聳え立つ山々以奥の世界に夢を馳せ、
ジョディーは繰り返す老人の“インディアン”の話しを聞く。

大草原の小さな家みたいなお話でしタ。

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『破戒』

by 島崎藤村

ここ最近ろくな読書をしていないのダ。
偶々、授業の空き時間で友人一人、
向かい側で『ダビンチコード』を読み、
机挟んで此方では『破戒』。

昼食過ぎのカフェテリアはまるで祭りの後の騒がしさ。
あの、何かが始まるウズウズ感ではなく、
あの、政が終わったのにも拘らず居座る人たちの、余韻。
何でも御座れ。

さて。
藤村の『破戒』は小学校以来開いた記憶がない。
変色した古い本、紙。

 身分制度が消えて間もない頃。
消える所か、だた名前が変わっただけの頃。
独りの青年が身分を隠し、界隈ではなく外界に、出ル。
非情な火の元、青年は塞ぎこんでしまう。
それは札が首にかかるどころか、体を取り巻いていタ。

 青年の慕う老師が世を離れ、青年は心の中で、恐ろしい決意をした。
それは、青年の父が常に言い聞かせていた「隠せ」に相反すル。
自らを慕う子供たちの前で、青年は言う。

 それは、巻き付き過ぎたお札たちを取る為なのか、
逃れることのできない芯の姿に疲れた為か、
或いは、自らを殺す為か。

周囲に話しただけで忘れられる人は、
なんと幸せなことよ。
人は決してみずから思うほどに幸福でも不幸でもなく、
ただ違う事は望んだり生きたりすることに飽きない事で。
飽きさせられる人々は、何を思って私たちを見るのだろう。

鳥の血に悲しめど魚の血に悲しまない、私たちを。
声ある者は幸福なり。
と、声ある者が言ってみル。

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『クロイツェル・ソナタ 悪魔』

by トルストイ

最も(面識は無いけれど)トルストイみたいな本だっタ。
登場人物其々が、濃く鋭い眼差しで居て、
多分、それがトルストイの破片たちな気がしタ。

電車の中での一場面。
たったその一個だけなのにネ。

濃粧な文がつらつらと書かれる中で、
ひょっこり本人が顔でも出しそう。

だから、「トルストイみたいな本」。
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『狭き門』

by ジッド

昨年の読み収めになった一冊。
年が明けたのにも拘らず感想アップを忘れていタ。

父を早くに失ったジェロームは、夏によく遊びに行っていた叔父の下で従妹のアリサに恋心を抱く。
しかしアリサは母の不倫などの身近な不和の中で、天上での愛を夢見るようになった。
ジェロームの気持ちを知り、自分も彼を愛していながら。
全て心の内にしまい込んだまま、アリサの体は弱く、弱く。
そして天へ。

下々での恋を拒否しつつ、それを、ジェロームが自分よりも良い人がいると彼に言い聞かせる。
自分に「軽率な心が願っていたあまりに人間的な悦び」に身を背け。
我慢のできない時には日記に書き。
死後、その本はジェロームの手に渡った。

そこで彼はアリサの苦悩の内の二つの愛をあらためて確認した。

好きだから、惹かれたからでは済まない難しい愛の形を作って行った、不安な環境の中で育った二人。
相手を攻める事無く、
幻滅する事無く、
それ以上を求めず、
「ジェローム」と「アリサ」。
年上の女性を頑なに愛し、待ち、待ち、俟つ。
しかしアリサには思い碇が心の底に沈んでしまい、それが表面の心をも引き込もうとする。

でも、二人はちゃんと愛し合う事ができた。
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